『夢をかなえるゾウ』

商品説明

始める理由

今、私はふたつの習いごとに通っている。ミシンで洋服を作る洋裁教室と粘土教室である。どちらも若い時には時間がないことを理由にして始められなかったが、洋裁教室は昨年から粘土教室は5年ほど前から通うようになった。実は、洋裁は高校生の頃から興味があり専門学校に行こうか大学に行こうか悩んだくらいだ。当時、私は洋裁で食べていくには自信がなかったし両親を説得する自信もなかったので、就職しやすい無難な大学を選んだ。そしてことある度に、趣味で洋裁を始めるにはお金が掛かりすぎるからと諦めていた。粘土の方は社会人になってだいぶん経ってから、知人が教えている粘土教室の話を聞いてはいたが、いつかは始めてみようと思うばかりでいつも自分の気持ちを飲み込んでいた。そんな私が今こうして新しいことに次々と挑戦していけるようになったのは1冊の本を何度も読み返し、そのシリーズを読んでいくうちにダメダメ人間の私を変えたいと強く思ったからだ。その本は、今も続編が出ている『夢をかなえるゾウ』である。

『夢をかなえるゾウ』

私はこの本を読み始めてから、靴を磨いたりトイレを掃除したり、コンビニで募金してみたりした。なるほど、ガネーシャの教えはどれも説得力のあるものだった。ガネーシャはどの教えも特別なことは一つもない、どれもその辺の本に書いてあることばかりだ。それをただ課題として挑戦させているだけだと話すが、象の神様であるガネーシャだったから野上や多くの人の心に響くものがあったのだと思う。書籍も面白かったが、テレビのドラマシリーズも面白かった。古田新太と小栗旬の掛け合いも良かった。平凡なサラリーマンが自分を変えようと奮闘し、関西弁を話す神様のガネーシャの課題に夢を成し遂げるべく挑戦していく話だ。中でも私が一番共感したのは序盤の、お金持ちのパーティーに紛れ込んだ野上が一人でそっと抜け出し自宅に帰って、泣きながらビールを飲んで酔い潰れるところだ。生まれ変われるものなら何でもするし、縋れるものなら藁をも掴むそんな気持ちになる時は誰にでもある。しかしそこから抜け出せる人はそう多くはない。気づかないふりをして翌日は会社に行く自分に、私はとてつもない罪悪感を覚えた。だからあの頃、泣きながら最悪な気持ちで酔い潰れた野上に共感した。

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