カフェで編み物。
今日は口コミで知った編み物教室に行ってきた。それは不定期で年に数回程度カフェで行われ、ドリンクとお菓子付きで3時間受けられる教室。お題は特になく、分からないことを聞く人もいたし、先生のキットを購入して編む人もいた。始めて先生をインスタで見つけた時は、こんな可愛い作品を編む人に会ってみたいと思った。そしたら、今回後輩のカフェで先生の教室が開かれることになった。先生と後輩は中学時代からの仲良しらしい。確か後輩は編み物が不得意分野のはずなのに…。聞いてみると先生は後輩のセンスの良さに一目置いていて、特にお菓子作りの腕には惚れ込んでいるという。人の縁とは不思議なものだ。‥楽しい教室だった。カフェの内装も素敵だった、私好みのランプが置いてあった。ランプの横で編み物をしていたら後輩に『お店を辞めたらいいけど、まだあげない。』そう言われてしまった。
急いで図書館へ。
特別な時間となった。カフェでのもう一つの発見は、カフェのBGMで流れていた芥川龍之介の『猿蟹合戦』である。私はおとぎ話の猿蟹合戦しか知らなかった。後輩にこのCDについて聞くと、最近ハマっている(オーディオブック)の中の一枚だと話してくれた。掃除の時や仕込みの時に聞いて教養を深めている。彼女らしく、読書は面倒なので聞くことで教養を深めているそうだ。今日は編み物をしない後輩から編み物の先生に会う機会をもらい、読書の苦手な彼女から芥川龍之介の『猿蟹合戦』を教えてもらった。世の中というのはこういうふうに回っているものなのか。‥私はこのあと、『猿蟹合戦』を求めて図書館に向かった。そしたら本当にあった、芥川龍之介全集の中の一冊の、4ページ程の中に私の知らなかった続きがあった。
猿蟹合戦のその後。
戦いに勝利したカニ・臼・ハチ・たまごはその後警官につかまり、主犯カニは死刑・以下のものは無期懲役を課せられた。主文によるとカニはにぎりめしを取られたというがカニと猿の間には, 柿とにぎりめしを交換するという一通の契約も交わされていない。また、青柿を投げつけられたというが熟れた柿と交換するなどの約束も交わしていない、と記されている。後日このことが新聞に載ったが、カニ達に同情を寄せたものは一通もなかった。その後の家族がどうなったかというと、カニの妻は経済難から売春婦となり、長男は株屋の番頭か何かになり、次男は小説家になったが三男はまだ幼くて父親のことを知らなかったのでカニ以外のものにはなれなかった。今までおとぎ話しか知らなかった私は、複雑な気持ちになった。よくディズニーに出てくるお姫様のことを調べると本当は恐ろしい現実に辿り着くことがあるが、まさか猿蟹合戦にこんな続きがあったとは。…そういえば次男がUSJでアルバイトを始めて暫くして『お母さん、夢の国はオイラが思っていたのとはだいぶん違っていた。夢の国で夢が見られるのはお客さんだけ、まぁオイラはバイトだしどうでもいいけど。』近況報告する電話で、そんなことを言ってた。幼い頃、寝る前に読んでもらった『みにくいアヒルの子』を指さして『お母さん、アヒルの子はどうなるの?』と泣いてしまった次男がね、そう思うとなんだか頼もしく思えた。
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