耳で本を読む。
彼女と渋谷での待ち合わせは、ずっと学生の頃からハチ公前と決まっている。彼女は今でもこの場所を待ち合わせにする。今日が20年ぶりの再会であろうと、いつもの場所で私より先に来ていつものように壁に寄りかかって本を読みながら私を待っていた。そして彼女を見つけた私が『今日も早いね。』と言っても『今来たところだから。』と笑顔で答えて、迷うことなく彼女のお気に入りのカフェに行き長い時間そこで話をした。彼女は現在高校の教師をしている。私は高校生の頃に、高校教師にはいったいどういう人がなるのだろうと考えた時期があったが彼女を見ていると、所詮どんな職業の人も同じ人間なのだと素直に思えるようになった。彼女は教壇に立っている間だけ教師の姿になる。いつでも世の中はそうやって回っているのだと身をもって教えてくれたすごい人だ。そんな彼女と私との共通点と言えば読書好きなこと。最近のオススメを聞いてみると『オーディオブック 』と答えた。通勤時にワイヤレスで本を読んでいるそうだ。耳で読書をするようになって、自己啓発本やSFなどジャンルの幅も増えたようだ。まったく、彼女の行動力にはいつも驚かされてばかりである。
リンク
コメント