季節のおとずれ

日記

人の集まる木

通りがかりの人が、庭先の梅の木を見ながら『今年の梅は生り年ですかね。』と話しかける。『今年はどうですかね、風で落ちないといいのですが。』『昨年はレモンと柚子が生り年で、梅は不作でした。』と梅の木の辺りから近所の人の声が聞こえた。私はこの時期になると特に、梅の木の近くを通る人の言葉で季節の始まりを感じる。今日では、ほとんど季節感を感じない生活をしている人も多くなった。スーパーマーケットに行っても移り行く季節に気付きずらい。1年中ほとんどの食材が揃うこのご時世だから、仕方のないことなのかも知れない。しかし梅の木の辺りでは…今日も『もうすぐ夏ですね。』『昨夜の風は強く吹きましたが、梅の木は大丈夫みたいですね。』『雨の日の梅の木も綺麗ですね。』と人の声がする…梅の木は毎年のように、私の生活に季節を教えてくれる。

梅の手仕事

6月は梅の収穫の季節です。この頃になると、知人から梅の収穫の手伝いの依頼が来る。農園とは無関係の私でも、実はこの季節を楽しみにしている。畑の中に入ったりハシゴに乗って高い所の梅を収穫したりと、不思議にこの時だけは毛虫を見てもあまり驚かない。目で楽しみ手で触って、その時の収穫を実感する。自然の不思議と果実を作り出す木の力に、私は毎年のように驚かされる。青い梅は梅ジュースや梅酒に使われ、よく熟れた梅は梅干しにすると美味しいそうだ。毎年のように農園の方は、知識と多くの経験から立派な梅を生産され美味しい加工品を作られる。お手伝いした時の私へのご褒美はその立派な梅だ。だからその頃の私はいつも頂いた梅を前に、今年は何を手作りしようかと考えながら幸せの時間を過ごす。

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